技術は伸びた。でもそれだけでは足りなかった

WordPressのカスタム投稿タイプ、カスタムフィールド、独自プラグインの開発。
複雑な要件にも対応できる技術が身につき、「何が来ても応えられる」自信も育っていった。

でも、ふと立ち止まったときに感じたのは、
「それだけでは、なにかが足りない」という感覚だった。

技術が高ければ高いほど、
それに比例して“伝わりにくさ”も生まれていた。


見た目を変えることより、「崩れないこと」が大切だった

はじめの頃は、見た目を工夫することが“設計”だと思っていた。
余白を調整し、動きを加え、洗練されたUIを目指していた。

でも、運用フェーズに入ったサイトでいちばん大切だったのは、
「崩れないこと」だった。

  • 投稿が増えても壊れない構造。
  • 管理画面を触っても迷わない導線。
  • 数ヶ月後に見ても、変わらず“そこにある”安心感。

それは見た目の話ではなく、設計の堅牢さの話だった。


「普通」は、いちばん強く、いちばん難しい

奇抜なアイデアや尖った構成よりも、
「普通にちゃんとしている」という状態を保つ方が、何倍も難しい。

“普通”とは、意図の塊だ。

見せたいものを見せるだけでなく、
見せなくていいものを出さない判断もまた、設計。

やりすぎない、盛り込みすぎない。
ただただ“整っている”という状態をつくるには、
あらゆる経験と、迷いと、削ぎ落としが必要だった。


記録していく。自分のために、誰かのために

この気づきは、ある日突然生まれたものではない。
ひとつずつ実装し、運用し、直し、学びながら、ようやく見えてきた景色だった。

だからこそ、これからも「なぜそう設計するのか」を丁寧に書き残していきたい。

これは、技術の話であり、思想の話であり、
そして何より、「誰かの使いやすさにどう向き合うか」という話でもある。


最後に

一見、地味で目立たない「普通」という価値。
でもそこにこそ、長く使われ、信頼され続けるWebサイトの本質がある。

今の自分が目指したいのは、
“壊れず、揺らがず、長く愛される構造”を、きちんと積み重ねること。

遠回りして、ようやくたどり着いた「普通」という設計思想を、
これからも静かに、丁寧に記録していきたいと思う。