はじめに

Webサイトのコンテンツを複数ページに分割する「ページネーション」は、多くのサイトで使われています。
しかし、ページネーションとSEOにおける「canonicalタグ」の関係は少し複雑で、誤った実装が検索順位や評価に悪影響を及ぼすこともあります。

この記事では、ページネーションの基本から、canonicalタグの正しい使い方、Googleの推奨動向、実際の実装例まで、実務に役立つ内容をわかりやすく解説します。


1. ページネーションとは?

ページネーションとは、1つのカテゴリーや一覧ページを複数のページに分割し、ページ送りできる仕組みのことです。
例えばブログの投稿一覧やニュース一覧でよく使われ、ユーザーの閲覧体験を向上させる効果があります。

ページネーションのメリット

  • ページ表示速度の改善(1ページあたりの読み込み量を減らせる)
  • ユーザーが興味のある範囲で情報を探しやすい
  • コンテンツの整理と階層化によるSEO評価の分散防止

2. canonicalタグの役割とは?

canonicalタグは「このページの正規URLはここですよ」と検索エンジンに伝えるためのHTMLタグです。
同じような内容が複数のURLで存在する場合に、重複コンテンツのペナルティを避けるために使います。

例:

<link rel="canonical" href="https://example.com/articles/" />

このタグがあることで、検索エンジンはcanonical先のURLに評価を集約できます。


3. ページネーションとcanonicalタグの関係

3-1. 第1ページ(ページ1)はcanonicalタグを出すべき

ページネーションの最初のページは「正規の代表ページ」として認識させるために、canonicalタグで自身のURLを明示します。
これにより、検索エンジンはページ1を正規ページとして評価します。

3-2. 第2ページ以降はどうするか?

主に以下の3パターンが考えられます。

パターン概要メリットデメリット
1. canonicalタグを出さない(省略)2ページ目以降にはcanonicalタグを出さず、検索エンジンに任せる実装がシンプルでGoogleの推奨に近いページ2以降の評価がどう扱われるか不透明
2. canonicalを第1ページにする2ページ目以降のcanonicalタグも1ページ目URLにする評価を1ページ目に集中させやすいページ2以降の評価が実質無効化される場合も
3. canonicalを自身のページにする各ページが自身のURLをcanonicalとして設定各ページが独立した評価を得られる評価が分散してしまう可能性あり

4. Googleの推奨と仕様の変化

以前はGoogleもrel=prev/nextタグとcanonicalタグの組み合わせを推奨していましたが、2020年代に入りrel=prev/nextはクロールに影響しないという見解に変わっています。

現在は「ページネーションは検索エンジンに自然に認識される」として、canonicalタグをどう扱うかがSEO上の重要なポイントになっています。


5. 実装例コード

5-1. 1ページ目にだけcanonicalを出す例

function output_canonical_tag() {
if ( is_paged() ) return; // ページ2以降はcanonicalを出さない

if ( is_singular() ) {
$url = get_permalink();
} elseif ( is_home() || is_front_page() ) {
$url = home_url();
} elseif ( is_category() ) {
$url = get_category_link( get_queried_object_id() );
} else {
$url = home_url( add_query_arg( array(), $GLOBALS['wp']->request ) );
}

if ( $url ) {
echo '<link rel="canonical" href="' . esc_url( $url ) . '">' . "\n";
}
}
add_action( 'wp_head', 'output_canonical_tag' );

5-2. 2ページ目以降も自身のURLをcanonicalにする例

function output_canonical_tag() {
if ( is_singular() ) {
$url = get_permalink();
} elseif ( is_home() || is_front_page() ) {
$url = home_url();
} elseif ( is_category() ) {
$url = get_category_link( get_queried_object_id() );
} else {
$url = home_url( add_query_arg( array(), $GLOBALS['wp']->request ) );
}

if ( $url ) {
echo '<link rel="canonical" href="' . esc_url( $url ) . '">' . "\n";
}
}
add_action( 'wp_head', 'output_canonical_tag' );

6. どちらを選ぶべきか?おすすめの判断基準

  • コンテンツ量やページ数が多く、各ページの独立性を重視したい場合は2番の方法を検討。
  • サイト全体の評価を1ページ目に集中させたい場合は1番の方法(2ページ目以降はcanonicalなし)で問題ありません。

7. まとめ

ページネーションのcanonicalタグの扱いはSEO上重要なポイントであり、間違った実装は評価分散やクロール効率の低下を招く可能性があります。

現状は「1ページ目にcanonicalを貼り、2ページ目以降はcanonicalを出さない」方法が無難で効果的です。
しかし、サイト構造やSEO戦略によっては、2ページ目以降も自身のURLをcanonicalにする選択肢もあります。

Googleの最新情報や自社サイトの特性に合わせて最適な方法を選びましょう。


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ページネーションやcanonicalタグの設定に関してご不明点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。