1. はじめに

WordPressサイトでは、ユーザーが直接意識しづらい「自動生成ページ」が多数存在します。
これらはユーザー体験には直接的な影響が少ない一方で、検索エンジンからの評価に大きく影響するため、適切なSEO設計が必須です。

具体的には、以下のページ群が対象です。

  • 添付ファイルページ
    メディアファイルごとに自動生成される単独ページであり、画像やPDFなどの詳細情報が薄いことが多い。
  • 検索結果ページ
    サイト内検索結果を動的に表示し、キーワードごとに内容が変化。多くは重複や薄い内容に該当。
  • 404ページ
    存在しないURLへのアクセス時に表示されるエラーページ。検索エンジンには「存在しない」ことを正しく伝える必要がある。
  • パスワード保護ページ
    コンテンツが非公開のため、内容が薄く評価を下げるリスクがある。

これらのページは適切にnoindexやリダイレクトを設定しないと、重複コンテンツや薄いコンテンツとしてGoogleからの評価を下げてしまいます。

本記事ではそれぞれのページ種別の特徴とSEO課題を詳細に解説し、現場ですぐ使えるWordPress用の実装コードも提供します。


2. 添付ファイルページとは?

WordPressはメディアをアップロードすると、メディア単体の専用ページ(添付ファイルページ)を自動生成します。

例えば、画像ファイルのURLは以下のように直接参照されますが、
https://example.com/wp-content/uploads/2025/07/sample.jpg

そのファイル単体の説明やメタ情報を表示するページとして、以下のURLも生成されます。
https://example.com/sample/

この添付ファイルページは、親投稿(画像が投稿に添付されている場合)とほぼ同一の内容やタイトルになることが多く、重複や薄いコンテンツとして評価されるリスクがあります。


3. 添付ファイルページのSEO課題と対策

SEO課題の詳細

  • 重複コンテンツの問題
    添付ファイルページのタイトルやテキストは親投稿と非常に似通っており、ほぼ同じ内容が複数URLで存在してしまうため、Googleのアルゴリズムに低評価される要因となります。
  • 薄いコンテンツと低品質ページ認定
    多くの添付ファイルページは本文がほぼなく、画像ファイルの名前や説明文程度しかありません。これはGoogleの「薄いコンテンツ(Thin Content)」と判断される典型例です。
  • ユーザー体験の阻害
    画像クリック時に添付ファイルページへ遷移するケースがあり、ユーザーが本来見たいコンテンツから離れてしまい、離脱率の上昇やサイト評価の低下につながります。

推奨対策

  • noindexの付与
    添付ファイルページは基本的に検索結果に表示させず、インデックスから除外するのがSEO的に最善策です。
  • canonicalタグは不要
    画像ファイルURLと添付ファイルページは性質が異なるため、canonicalで指示せずにnoindexで扱う方が安全です。
  • 親投稿へのリダイレクト推奨
    添付ファイルページから親投稿へ301リダイレクトすることで評価を集約し、重複問題を解消できます。

実装コード例

add_action('wp_head', function() {
if (is_attachment()) {
echo '<meta name="robots" content="noindex,follow">' . "\n";
}
});

add_action('template_redirect', function() {
if (is_attachment()) {
global $post;
if ($post && $post->post_parent) {
wp_redirect(get_permalink($post->post_parent), 301);
exit;
}
}
});

4. 検索結果ページとは?

search.php テンプレートは、ユーザーがサイト内検索を行った際に検索キーワードに対応した投稿一覧を表示します。
動的に生成され、検索キーワードによって内容が大きく変動します。

例)https://example.com/?s=SEO設計


5. 検索結果ページのSEO課題と対策

詳細課題

  • 動的かつ薄いコンテンツの量産
    検索結果はユーザーや検索語句によって変わるため、Googleにとって意味の薄い多数のページが生成されてしまい、サイト全体の評価を下げる原因となります。
  • 低品質ページの増加リスク
    キーワードによっては検索結果がほとんどないページも作られやすく、これがさらにSEO評価を損ないます。
  • Googleの公式ガイドラインもnoindexを推奨
    検索結果ページのインデックス化は、Googleも基本的に避けるべきと明言しています。

推奨対策

  • 検索結果ページ全体に noindex,follow を付与し、インデックスから除外します。
  • 検索結果が十分多く質が保証できる場合のみ、条件付きでインデックスを許可する運用も検討可能です。

実装コード例

add_action('wp_head', function() {
if (is_search()) {
echo '<meta name="robots" content="noindex,follow">' . "\n";
}
});

条件付き例

add_action('wp_head', function() {
if (is_search()) {
$query = get_search_query();
$post_count = $GLOBALS['wp_query']->found_posts;
if (strlen($query) < 3 || $post_count < 5) {
echo '<meta name="robots" content="noindex,follow">' . "\n";
}
}
});

6. 404ページとは?

404ページは、存在しないURLにアクセスされた際に表示されるエラーページです。
正しいHTTPステータスコード「404 Not Found」を返すことがSEO上重要です。


7. 404ページのSEO最適仕様と実装

仕様ポイント

  • WordPressはデフォルトでHTTPステータス404を自動的に返します。
  • 404ページには noindex,follow を指定し、検索結果から除外します。
  • canonicalタグは不要です。

実装コード例

add_action('wp_head', function() {
if (is_404()) {
echo '<meta name="robots" content="noindex,follow">' . "\n";
}
});

ユーザー体験向上のために

  • 「ページが見つかりません」など分かりやすいメッセージを必ず表示する。
  • トップページや関連カテゴリーページへのリンクを設置し、サイト内回遊を促す。
  • サイト内検索ボックスを設置して、別の情報検索を容易にする。

8. パスワード保護ページのSEO課題と対策

SEO課題

  • パスワード保護ページはほぼコンテンツが非表示であり、検索エンジンから薄いページと判定される可能性があります。
  • インデックスされるとサイト全体の評価に悪影響を及ぼすリスクがあります。

推奨対策

  • パスワード保護ページには noindex,follow を付与し、検索エンジンのインデックス対象外とします。
  • canonicalタグは通常通り自ページのURLを出力します。

実装コード例

add_action('wp_head', function() {
if (is_singular() && post_password_required()) {
echo '<meta name="robots" content="noindex,follow">' . "\n";
}
});

9. まとめと運用アドバイス

ページ種別SEO対策canonical設定備考
添付ファイルページnoindex,follow + 親投稿リダイレクト推奨不要重複・薄いコンテンツとしての評価下落防止
検索結果ページnoindex,follow不要Google公式推奨、動的コンテンツの質を保つために必須
404ページnoindex,follow不要404ステータスはWP自動返却
パスワード保護ページnoindex,follow通常通り自ページURL薄いページ扱いを避けるために必須

これらのSEO設計は、サイトの評価を保ちつつ検索エンジンに正しいシグナルを送るために不可欠です。WordPressの自動生成ページを正しく制御することは、全体のSEO品質を高める上で非常に重要な運用ポイントとなります。

もし、貴社サイトのSEO設計やWordPressの裏側の最適化について詳しくご相談されたい場合は、こちらのお問い合わせページからお気軽にご連絡ください。専門的な視点から最適なアドバイスと実装サポートをご提供いたします。