企業サイトのサービスページに適した構造化データ設計と実装事例
はじめに:サービス内容を「構造化」するという考え方
企業サイトにおいて、自社のサービスを正確に伝えるための手段は、単なる文章やデザインに留まりません。
近年では、検索エンジンがページ内容を正しく理解しやすくするための構造化データ(Structured Data)の活用が重要になっています。
中でも @type: Service
は、企業が提供するサービス内容をマークアップするために設計された構造であり、
BtoB向けの制作業務や士業、コンサルティングサービスなどにとって非常に相性の良い形式です。
この記事では、@type: Service
の概要から、WordPress企業サイトでの実装事例、注意点まで丁寧に解説します。
@type: Service
とは?
Schema.orgにおける定義
@type: Service
は、Schema.org で定義されている構造化データの一種で、企業が提供する無形サービス(Web制作、運用支援、士業サービス等)を記述する際に使われます。
この構造を記述することで、Googleやその他の検索エンジンに対し「このページでは具体的なサービスを紹介しています」と明示することができ、
検索結果での可視性や信頼性向上につながる可能性があります。
企業サイトでの活用シーンとは?
@type: Service
は、以下のようなページに最適です。
- Web制作・開発サービス紹介ページ
- 顧問契約や運用支援といった継続型サービスの案内ページ
- 業務委託・コンサルティング・リモート支援等の無形提供サービス
- 定額プランなど料金体系が明確なサービスページ
※「商品(モノ)」ではなく「サービス(行為・支援・実行)」を提供している企業に特に適しています。
実装例:WordPress企業サイトのサービス紹介ページ
実装シナリオ
以下のようなWordPress固定ページ /service/wordpress-backend/
において、
「WordPress裏側設計サービス」を紹介していると仮定します。
この場合、構造化データをページに埋め込むことで、検索エンジンに対し明示的に「サービスページである」と伝えることができます。
実装コード(JSON-LD形式)
<?php if ( is_page('wordpress-backend') ) : ?>
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Service",
"name": "WordPressの裏側設計サービス",
"description": "デザインを崩さず、整合性と更新性を重視したWordPressバックエンド構築を提供します。",
"provider": {
"@type": "Organization",
"name": "株式会社 一針一歩",
"url": "https://isshin-ippo.co.jp",
"logo": {
"@type": "ImageObject",
"url": "https://isshin-ippo.co.jp/assets/logo.png"
}
},
"areaServed": {
"@type": "Place",
"name": "日本全国(オンライン対応)"
},
"serviceType": "Web開発・CMS構築(WordPress)",
"availableChannel": {
"@type": "ServiceChannel",
"serviceLocation": {
"@type": "Place",
"address": {
"@type": "PostalAddress",
"addressCountry": "JP"
}
}
}
}
</script>
<?php endif; ?>
構造のポイント解説
プロパティ | 意味・活用法 |
---|---|
@type: Service | 無形のサービスであることを宣言 |
name | サービス名(SEOキーワードを含めても良) |
description | 内容を簡潔に記述(検索エンジンが参照する) |
provider | 提供企業情報を Organization 型で明示 |
areaServed | 対応エリアの記述(都道府県名や“全国”など) |
serviceType | サービスのカテゴリや業種名 |
availableChannel | オンライン・電話・対面などの提供方法 |
注意すべき点とベストプラクティス
よくある誤り | 解説 |
---|---|
トップページで一括出力している | サービスごとにページ単位で設置するのが理想。Googleの構造化データ方針にも合致します。 |
Product と Service を混同 | 形ある「商品」は Product 、無形の行為は Service 。例えばSaaSや支援業務は基本的に Service 。 |
バリデーション未確認 | JSONフォーマットエラーで無効化される可能性があります。公開前に Rich Results Test 等で確認を。 |
曖昧な description | 具体的な内容・特徴・対応方法を簡潔にまとめましょう。「●●に特化」「オンライン対応」などは有効です。 |
運用上の工夫(WordPress編)
- カスタムテンプレート or ページID判定で出力
各サービスごとに構造化データを条件出力(is_page()
)することで無駄な重複を避けられます。 - ACFなどを使って動的管理も可能
Advanced Custom Fields を使えば、構造化データの一部を管理画面で編集できるようにし、将来的な運用を効率化できます。
まとめ:サービスページも検索エンジンに“見せる設計”を
コーポレートサイトにおけるサービス紹介ページは、企業の信頼性・実績を伝える重要な接点です。
そこに「構造化データ」という視点を加えることで、人に伝わるだけでなく、検索エンジンにも正しく伝えることが可能になります。
@type: Service
は、無形サービスの可視化を支援する非常に有効な手段です。
とくにWordPressで企業サイトを運用している場合、構造と意味を同時に整えるこの施策は、SEO・運用・拡張性のどれにおいても価値をもたらすでしょう。
実装に不安がある方へ
株式会社 一針一歩では、WordPress企業サイトにおける構造設計に特化し、
サイトの見た目を壊すことなく、内部構造の最適化をサポートしています。
構造化データの設計・出力に関する技術的なご相談も承っております。
お気軽にお問い合わせください。